ゴールキーパー(GK)の親たちよ、こんにちは。管理人のロンです。
皆さんの中には、我が子の試合の応援に行き
「ウチの子、GKなんてやらされててかわいそう!」
と思ったことがある方がいらっしゃるかもしれない。
また、いつもGKをやっている我が子を見て、
「一生懸命やってるけど本当は嫌なはずだから、家じゃサッカーの話ができない」
等、ネガティブな印象のせいで我が子と率直なコミュニケーションが取れずに苦しんでいる方もいらっしゃるかもしれない。
だが私は、GKほど目立って、かっこよくて、おトクなポジションはないと思っている。
「目立つのはユニフォームの色が違うからでしょ?」
なんて思ったあなた!
今回はあなたにお伝えしたいことは以下の内容だ。
GKの親は「こんなオトクなポジションない!」と思おう!
・初心者でもすぐにヒーローになれる!
・止めたら神!失点責任なし!
・サッカーIQみるみる向上!後ろからじっくり観戦!
・ズルい!?試合に一番多く出られる!
さっそく、Jリーグ下部組織(J下部)ジュニアユースのGKであるウチの次男が練習着に付けてきた人工芝を取る時間を使って、
とかく敬遠されがちなGKという役割を担う子の親たちのおすすめのマインドセット(考え方)を示していこうと思う。
あくまで8年間少年サッカーチームでコーチをしつつ次男を育ててきた私の経験からくる個人的な考え方ではあるが、
ウチの次男がGKであることに誇りを持ち、楽しんでサッカーをやっている姿を見ると、大きく間違ってはいないと思える。
これを読み終わった後、あなたと我が子がGKに対して誇りを持て、つらみが少しでも軽くなれば嬉しい。
GKの親は「止めたら我が子は神!失点しても責められない!一番サッカーが上手くなる!」と思おう


人工芝がたっぷりついた練習着たち。
強敵はソックスと練習着上の裾の縫い目といったところか。
この人工芝を取りながら、ぼやいていこうと思う。
冒頭でも触れたが、皆さんの中には
「ウチの子はGKやらされて、活躍できなくてつまらなそう(自分もつまらない)」
「失点したらウチの子の責任だから、怖くて見てられない」
「ボールを足で触らないからサッカーが上手くならない」
など、GKに対してネガティブなイメージを持っている方がいらっしゃるかもしれない。なんでフィールドプレイヤー(FP)をやらせてくれないのか、と。
上記は全て正しい一面ではあるが、その子と親であるあなたのマインドセットを変えるだけで、全く当てはまらなくなる。
つまり、
GKは「止めたら神(= 最高に活躍できる)」だし「失点しても責められない」し「一番サッカーが上手くなるポジション」ということだ。
理由は後ほどちゃんと説明するが、もし親であるあなたに
「ウチの子ばかり目立ったらダメ」
「親として子の失敗の責任を取らなきゃ」
「上手くなるためには何しろボール触って練習しなきゃ」
というような大人特有の固定観念みたいなものがあるのなら、一度深呼吸してリラックスし、なるべくそのような考えをとっぱらってから読んでほしい。
サッカーをやっているほとんど小学生の子は将来プロになりたいと思っている。それは何万人の観客から見られる = 超目立つということだ。
また、サッカーは失敗するスポーツだ。上達の近道は、失敗を恐れずにどんどん練習の成果を試合で試すことだ。失敗してボールを取られたら取り返せばいい。
そして、サッカーはボールを触るよりも考える時間の方が長いスポーツだ。試合中に実際にボールを触っている時間なんて、長くても数分。
ほとんどは、ボールをもらったり相手からボールを取るために、考える時間である。
なので、あなたにはとにかく
「へー、GKは最高に活躍できるし、失点しても責められないし、一番サッカーが上手くなるポジションなんだ。ふむふむ」
とオープンマインドで読み進めてほしい。一番のサポーターであるあなたのマインドは、子どもにとって大変重要なはずだ。
華々しいゴールシーンをあきらめ、痛さと怖さに耐えるGK。その上 責任なんて負えるか!


まずは簡単なエルボーパッドから。
あまり絡みつかないので、こんな感じでテープで輪っかを作ってペタペタと取っていく。
サッカーで一番華々しいのは、やはりゴールシーンだろう。「スーパーゴール集」のような動画がYouTubeなどで多く出回っているし、
サッカーをやっている子供たちのほとんどが、自分がゴールすることを夢見て日々練習している。
これをほぼ諦めなくてはならない上、そのシュートを撃たれる側がGKだ。
強烈なシュートが当たれば痛いし、横っ飛びでのセービングはカッコイイが、そのあと地面に落ちるときはまた痛い。
それに走ってくる相手を視野に入れながらボールに飛び付くのは非常に怖い。
こんなに痛くて怖いのに、失点して責められでもしたら、もうボク泣いちゃう。
大丈夫。痛さと怖さに負けずにがんばるキミを実際に責めるヤツは一人もいない。
しかし、実際GKは上記のイメージから子どもたちから不人気であることが多く、試合中にコーチが
「GKやりたい人~!」
と言っても誰も手を挙げない、というシーンをよく見かける。
その不人気なポジションというイメージが行き過ぎて
「GKはFPとしての能力が低い子がやるポジション」
なんて言う子や保護者までいたりするので、GKの親としては本当に頭にくる。しっつれいしちゃうわ。
そのイメージを払しょくするため、改めて声を大にして言わせてもらおう。
「GKはシュートを止めたら神。失点しても責められず、一番サッカーが上手くなる、超オトクなポジションだ!」
と。
サッカーを始めた初心者なら真っ先に検討すべきポジションだ。
以下に私の考える理由を挙げる。
理由1:サッカー初心者でも「止めれば神」!ジュニア世代で一番大切な「サッカーの楽しさ」も学べるから


お次はジャージ上だ。
これもあまり絡みつく素材ではないので、ベランダでバサバサやった後、こちらもテープでペタペタやっていく。
ポケット周りに入り込んだ人工芝を取るのが面倒だが、今日は入ってない。
助かった…
1つ目の理由は、
「サッカー初心者でもすぐに活躍できる可能性が高い」
からだ。
ご存じの通り、サッカーは足でやるスポーツだ。手で行うスポーツよりも数倍難しい。
始めたばかりの初心者は、先に始めていた子たちと足元の技術で大きく差が開いてしまっていることが多い。
その点、GKは手を使うことが許されているのですんなり入っていけ、その手を使ってシュートを止めさえすれば、
味方のピンチを救った守護神としていきなり崇められる存在になれる。
まさしく「止めれば神」なのだ。
もし「いや、そこまでじゃないでしょ~?」と思う方は、YouTubeなどで「スーパーセーブ集」を探して見てみてほしい。
あまりメジャーではないのかもしれないが、これは先述の「スーパーゴール集」のいわばGK版となり、
ゴール上隅のいわゆる「神コース」に向かう強烈なシュートをGKが大きく飛んで指先で弾いて止めたり、
1本目のシュートをセーブした後にすぐ撃たれた2本目のシュートも驚異的な反応でセーブしたりする動画を集めたものだ。
観ると思わず「うぉー!すげー!」と声が出る。止めたGKは当然ドヤ顔。そこに仲間FPのみんなが駆け寄って賛辞を贈り盛り上がる。
多くの場合で相手ボールのコーナーキック等の次の展開が控えていたりするので、ゴールパフォーマンスのようには長々と盛り上がれないのが残念だが、
1失点を0にできるというのは1得点するのと同じ意味を持つと思う。
小学生で神コースを横っ飛びセーブできる子はなかなかいないが、そこまでできずともゴールを守ったならば、仲間全員から賞賛されるべきだ。
またこの成功体験で、ジュニア年代でなにより大事な「サッカーの楽しさ」を、始めたばかりで学ぶことができるのも、GKの魅力の一つだ。
ぜひ我が子には「止めれば神様になれるんだよ!」と伝えてあげてほしい。
蛇足だが、一番活躍が目立たないのはディフェンス役(DF)のFPではないかと思う。
なかなかシュートを撃つチャンスもないし、GKのようなスーパーセーブができるわけでもない。
手を使うどころか、ペナルティエリア内ではハンドを取られないよう手は後ろに回すよう指導される(小学生でやれている子は少ないが)。ユニフォームもみんなと同じ色。
でも、身体を張ってがんばっている子たちがいる。
強烈なシュートに身体を当てて止めたり、ゴール前の絶対に相手に渡してはならない時に相手とボールの間に身体を入れて触らせないようにしたり。
非常に地味で、特に小学生の子たちにはそれが1失点を抑えたすごいプレーだとは分かりづらく、賞賛の言葉もないことが多い。
お子さんが所属するチームのDFの子が、体を張って失点を防いだなら「ナイスディフェンス!」とぜひ声を掛けてあげてほしい。
理由2:ノーリスクハイリターン!がんばるGKは「失点しても責められない」ので、失うものがないから


次は今回の中ボスの練習着の上だ。
裾を裏返したところの縫い目に人工芝がたっぷり絡みついている。
とりあえずベランダでバサバサするが、裾の人工芝は全然落ちない。
2つ目の理由は
「失点しても責められない」
からだ。
あなたは親であるその責任感から、GKである我が子がシュートを決められた時
「ウチの子のせいですみません!」
と思ってしまうかもしれない。
私の妻もそうだ。息子の試合の応援に来て、PKにでもなろうものなら見てられないと言う。
でも思い返してみてほしい。実際に失点してガッツリ責められているGKを見たことがあるだろうか?
たまにいる「選手が何をしても文句を言って責め立てるコーチ」は別だが、がんばっているGKの失点を責めるコーチはまずいない。
これはコーチが単に優しいからとかではなく、ちゃんとした理由があるのだ。
PKがほとんどの場合で得点となることからも分かるように、GKがFPにフリーな状態でシュートを撃たれたら圧倒的に不利であり、失点は当たり前と言える。
なので、そのような状況をチームとして作ってはいけないということが前提になるのだが、
それでは、失点は誰の責任なのだろうか?
GKだけに責任があるはずがない。ジュニアサッカーは8人で行うスポーツである(11人制でも同じだが)。
失点した責任は
相手にボールが渡った際に素早くプレッシャーに行かなかったトップ・フォワード(FW)の選手かもしれないし、
相手にマークを外された中盤・ミッドフィルダー(MF)の選手かもしれないし、
相手に身体をぶつけられずに抜かれてしまったディフェンス(DF)の選手かもしれない。
サッカーはボールを繋いでゴールを狙うスポーツ。シュートを撃たれるということは、ボールを繋がれてしまったということ。
ほとんどの場合はそれを止められなかったFPの責任なのだ。
これをコーチ達はちゃんと分かっていて、子どもたちに日頃から指導している。
なので、GKは
「シュートを止めたら神。失点しても責められない」
という、ノーリスクハイリターンのポジションなのである。
もしまだあなたが我が子に伝えていないなら、上記のことをぜひ強調して伝えてほしい。
これぐらいに思っていないと、痛い・怖い・シュートを撃てない上に失点を責められるポジションなんて誰も希望するはずがない。
ただし、試合で失点したお子さんが、いきなりFPの誰かを指さして「おまえのせいだ!」とか叫び出さないよう、加減をもって伝えてほしい。
親と子だけの共通のマインドセットであるだけで、GKの子のプレッシャーは相当変わってくるはずだから。
理由3:全ての状況が後ろから見える!GK以上に冷静にサッカーを学べるポジションはない


裾の裏の縫い目の人工芝をテープで取ろうとするも、案の定 全然取れない…
実はまだまだGKを推す理由がある。3つ目の理由は、
「GK以上に冷静にサッカーを学べるポジションはない」
からだ。
サッカーは「認知・判断・行動」を自分一人で瞬時に行うことを無数に繰り返すスポーツだ。
試合中にさんざん偉そうに指示を出しているコーチがいるが、実は、その選手のその瞬間のプレーに対しては全く関与できていない。
なぜなら、もう「行動」をしなきゃいけない時に、コーチの指示を聞いて「認知」や「判断」からしていたら間に合わないからだ。
必然的に、コーチが試合中にできるのは次のプレーに繋がるアドバイスだけになるが、全く同じシーンなんてありえないので、
必ず選手一人ひとりが「認知・判断・行動」をすることになる。
そのため、サッカーは選手一人一人が知識を付け、考えることが非常に重要となる。
「サッカーIQ」という言葉があるのはそのためだ。
ましてや初心者にはそのサッカーIQがあるはずもない。まずはサッカーを学ぶことが、足元の技術よりも重要となる。
そこで、GKだ。
GKは味方が相手ゴール付近まで攻めこんでいる際、できるのは味方への声掛けだけだ。
慌てて何かプレーをすることがほとんどないので、ボールやプレイヤーから一番離れた後ろから、冷静にじっくりと状況を見て、考えることができる。
ボール・味方・相手の位置。どこにボールが出そうか、誰がフリーか、どこにスペースがあるか。誰が上手で、どういったプレーをしているのか。
これほど冷静にじっくりサッカーを学べるポジションはない。
またここでのプラスアルファとして、ぜひ後ろからの「声掛け」にチャレンジしてほしい。
声掛けには
「(相手ボールになった時にカウンターが怖いから)〇〇(DFの名前)、上がらないで残れ」等の「指示」の声掛け、
「(味方FPがパスをもらって、相手プレッシャーがない時に)フリー!ターン!」等の「教えてあげる」声掛け、
「ドンマイ!取り返そう!」等の「盛り上げる」声掛け
などいくつかの種類があり、ただでさえサッカーIQの乏しい初心者には何て声掛けしたらいいのかわからず難しいのだが、
間違っていてもいい。ぜひやってほしい。
チームが勝つために非常に有効であり、仲間から信頼を得ることができるし、
GKとして後ろから見て学習した内容を、声掛けという「アウトプット」をすることにより、より早い定着を図ることができるからだ。
これは全ての学習に言えることで、英語を覚える時「発音」や「書き取り」等のアウトプットをしながら覚えたことはないだろうか。
ぜひ青春時代を思い出していただきたい。試験直前に友達と問題を出し合って、回答し合ったりした、アレである。
実は小学生のうちからこの声掛けができるGKは多くない。できればそれだけ抜きんでることができるし、
サッカーIQの向上にもものすごく効果的なので、最初から意識してチャレンジできるといい。
理由4:ちょっとズルい内緒話。GKやれば試合出場の機会が増える。だから一番サッカーが上手くなる!


手の爪でひっかいて取る。
あらかたこれで取った後、指でつまんで取りきる。面倒くさいが、結局 手が一番取れる…
GKを推す最後の理由。それはあまりみんなが気づいておらず、私が長男の代のコーチをやっているときに気付いた、ちょっとズルい話。
「GKをやると試合出場回数が増える」
ということだ。
「ウチのチームはコーチが子どもたちの出場回数を、GKも関係なくガチガチに管理しています!」って場合は当てはまらないのでご了承いただきたいが、
先述のようにGKは不人気なポジションで、コーチとしてもやってくれればありがたいという状況が多いはず。
また同時に、よっぽど本人がFPを嫌がらない限り、その子が小学校低学年のうちからGK以外はやらせない、という考えのコーチはまずいない。
その子がどのポジションに向いているかなんて、小学生のうちから分からないからだ。ほとんどの場合で「FPもやってごらん」となる。
特に練習試合の場合、ジュニアサッカーの試合時間は高学年でもMAX20分と短いので、1日に何本もやることが多い。
コーチは毎試合、誰を起用するか考えることになるわけだが、やはりFPは走り回って疲れるので、
よほど外せない主力選手か人数不足でない限り、1試合出たら次の試合は休ませることになるのだ。
その点、GKはFPに比べて走る量が少ないので疲れない。そのため、
「GKで前の試合で出場しても、次の試合でもFPで出場できる」
ことが多くなるのだ。
試合は相手チームがあるので、自チームとは全然違うスタイルのサッカーを学べたり、お互いの勝ちたい気持ちがぶつかり合ったりと、
学べることが非常に多い。やはり試合が一番、サッカーの練習になる。
GKでもFPでも試合に出ることで、他の子よりも学べる機会が増えるというわけだ。
これまでに挙げた3つ目の理由の「1番学べるポジションである」ことと、4つ目の理由の「試合の出場回数が増える」ことから、
GKは一番サッカーが上手くなるポジションだと言えるのだ。
親として「止めたら神」と伝え続け、次男は堂々とGKを続けてきた


なんとかここまで人工芝を除去。
これくらい取らないと怖くて洗濯機には突っ込めない…
次男が小学3年生になる直前の3月にサッカーを始める際、この記事でお伝えしてきた内容を伝えながら、GKをやるように勧めた。
サッカーを始めるのがちょっと遅いと思ったからだ。
しかし次男は
「でもシュートを決められたら自分のせいになっちゃうから嫌だ」
と多くの小学生と同様に気が進まない様子だったので、
「いやいや、シュートを撃つフィールドの子たちの方が圧倒的に有利なんだから、決められて当たり前。誰にも責められないし、逆に止めたらGKは神様だ。
しかもサッカーのことを1番勉強できるし、他の子よりも試合に出られる。すぐにみんなに追いつけると思うぞ」
そう伝えると、次男は
「え!?そうなの!じゃあやる!」
と言い、GKとしての道を歩み始めることになった。
一方でやはり他の子たちと同様にシュートも決めたいという思いもあり、FPも並行して始めたのだが、
GKはたまたま生にも合っていたようで、痛い・怖い思いをしてもFPに偏ることなく、どちらもめきめきと上達していった。
ヘッドコーチが色々なポジションをやらせてくれたのもよかった。
ゴールの喜びはもちろん、相手を抜くこと、体を張って相手からボールを奪う喜びも知ることができ、ますますサッカーにのめり込んでいった。
中でも次男がのめり込んだのがキックである。私は実際には見ていないが、先述の公園に毎日行っては、キックの練習をしていたようだ。
キックは軸足の踏み込み方に始まり、蹴り足のどの位置を、ボールのどの位置に当てるか、
またボールに足が当たった後、どのように足を振り抜くかで、威力や弾道がまるで変ってくる。
オタク気質なところがある次男にはそれが面白く、ちょっと変えて蹴ってはどう変わったか、というのをずっとやっていたようだ。
YouTubeがこの世に普及していたのも、次男にはよかった。
ダラダラ観るとあれほど時間を溶かしてしまうものはないが、次男はダラダラ観の一方で、キックの仕方を調べるのにも使っていた。
YouTubeで得た知識を公園で遊びながら試していくことを繰り返し、キックの飛距離、精度を上げ、蹴られる球種を増やしていった。
GKでサッカーIQを高めつつキックを磨いていくことで、ほどなくしてチームの主力選手になることができた。
GKとFPを半々とし、FPの子たちと同じようにドリブルもリフティングも練習しつつ、
市のサッカー協会で月1でやってくれるGKの基礎トレーニングに通ったりしながらGKとしての練習もし、丸っとサッカーを楽しみながら上達していった。
小5になると、トレセン活動が始まる。
トレセンとはトレーニングセンターの略で、最終的には日本代表に繋がるような、サッカー協会が運営している育成制度。
区やブロックなどの地域のトレセン、市トレセン、県トレセン(県北・県南など分かれることもある)、関東などの地方トレセン、ナショナルトレセンと上がっていく。
育成組織となってはいるが、育てるというよりも、上手な子を選んで上のステージに上げていくためにあるような組織だ。
参加する選手は所属チームはそのままで、今まで通り活動しつつ、追加でトレセン活動に参加するようになる。
その候補選手を各チームから選出する頃になり、次男はチームから推薦をもらうことができた。
だがこの時、GKかFPのどちらでトレセンに参加するか決める必要があるのだ。
次男はどちらの枠で行くか非常に悩んでいた。自慢のキックでゴールを奪うのも好きだったのだ。
だが長男の時のトレセン活動を見ていた私には、本当にこの先の上のステージを狙うならGKしかないと分かっていた。
各チームのエースが集まるのだから当然だが、トレセンに集まるFPの子たちは「止める」「運ぶ」「蹴る」が本当に上手い。
次男の「蹴る」は十分通用すると思ったが、とても「止める」「運ぶ」が通用するとは思えなかったのだ。
だがGKならもしかしたら、と思った。息子の得意な「蹴る」はGKとも非常に相性がいい。
そしてその私の予感は当たり、次男はGKとしてトレセンで活躍するようになったのだが、
その傍らで、記念で受けたつもりのJ下部のセレクションに受かり、
私がコーチをしているチームから移籍することになったため、トレセン活動を最後まで続けることはできなかった。
その間、私が次男に伝え続けてきたことは、ずっと一緒。
「失点しても誰にも責められないのに、止めたら神だぞ!だから、自信を持ってやっておいで」
ということ。
ぼかすかシュートを撃たれて大敗して悔し涙を流しているときも、
「お前のせいじゃないぞ」
と、なるべく早く元気が出るよう言葉を掛けてきた。
そうして今、J下部ジュニアユースという厳しい環境の中でも、楽しみながら堂々とGKをやっている姿を見ると、
大きくは間違っていなかったんだな、と思う。
ぜひ皆さんも我が子に
「止めたら神。失点しても責任ない」
と言って励ましてあげてほしい。
GKの責任はホントに全くないの?いや、そんなことはない(笑)


次はラスボスのソックスの人工芝取りだ。
がっちり絡みついていてテープなんかでは取れないので、最初っから指の爪でひっかきながら取っていく。
毎回ソックスが一番大変。
「失点してもGKのせいじゃないんだって!じゃあ試合中何しててもいいのね!
ほら、とりあえずGKのユニフォーム着ちゃってとりあえず試合出て、学校の宿題でもやってなさい!」
いやいや、さすがにそれはないよ…
学校の宿題はキーパーグローブはめてて鉛筆が持てない……いや、そういうことではない。
宿題以外にも、足で地面に絵を描いていたり、バッタを捕まえようとしていたりしててもだめだ(低学年あるある)。
先ほどから「がんばっているGKを」と伝えている。がんばっていないなら、GKだろうがFPだろうが、失敗した責任はガッツリ負うべきだ。
また、失点はGKが責められるべきではないが、
「その失点を防ぐために自分がもっとやれたことはなかったか」
という「自責」の観点は、上手くなるためにとても大切だ。
GKはただでさえ相手がゴール前にボールを運んでくるまで関われることが少ないポジションだ。
だからこそ、できることは全てやるという考え方が重要となる。
「相手に左サイドから攻め上がられているときに、右サイドから上がってくる選手を見るようにDFに声掛けできたか」
「シュートを撃たれる際の自分の立ち位置がニアサイドに寄り過ぎていなかったか」
「相手のクロスを、もっと前に飛び出てキャッチができなかったか」
等など。
私は次男が出ている試合のビデオを撮り、失点シーンを中心に一緒に見直し、振り返ってきた。
このとき、瞬間的な反応やスキルは置いておいて「もっと準備ができたこと」や「判断の良し悪し」にフォーカスしてきた。
反応やスキルはすぐには身に付かないが、理解して考え方を変えるだけで、次の試合ですぐに効果が出るためだ。
この繰り返しがサッカーIQを高め、上達への近道となると思っている。
また、なかなか子ども一人では試合ビデオを見返そうとしなかったり、観ていても自分の良いプレーばかりを見返し(子どもあるある)、
色々な「もっとやれたこと」に目を向けようとしないことが多いだろう。
皆さんもぜひ我が子と一緒に観てあげてほしい。
子どもの良いプレーを存分にほめてやりながら、一緒に「もっとやれたこと」について教えてあげよう。
その際に大事なことは、まずは我が子の意見・気付いたことを聞くこと。サッカーは自分で考えることが大事なのだ。
もう一つは「失敗を決して責めない」こと。
ただでさえ観たくないこの時間を、子どもにとって責められる苦痛の時間にしてはならない。
例えば失点シーンでは
「この相手選手がフリーになってシュートを撃つから、右サイドのDFを呼んでしっかりマークさせるように声掛けできればよかったね」
というような伝え方をしよう。
そうすれば、お子さんはビデオを観ることを嫌がらないだろうし、親子の素敵な時間になることだろう。
やっぱり親は我が子の1番のサポーター!「止めても止めなくても神」


ソックスも人工芝を取り切った。
パンツもベランダで手でパンパンやったら落ちたので、これで全部。
やっと洗濯機に放り込める。
洗濯機回して終わるのが50分ほど。その後干す。
これを毎回…
これまで、GKの親であるあなたに持っていただきたいマインドセットは
「GKは止めたら神!失点しても責められないし、一番サッカーが上手くなるポジション」
だとお伝えしてきたが、ご理解いただけただろうか。
少しでもあなたの記憶に残り、我が子がGKをやることへの不安や不満を取り除けたら嬉しい。
GKという敬遠されがちな過酷なポジションを選んだ我が子が、サッカーを楽しむ気持ちを前向きに育んでいけるよう、まずはあなたがそのマインドを持ってほしい。
そして我が子が悩んだり落ち込んだりするときは上記を伝え、勇気付けてあげてほしい。
GKは「止めたら神!」だが、あなたにとって我が子は「止めても止めなくても神」のはずだ。もしくは天使か。
…なんてことをぼやいていたら、人工芝取りが終わった。
洗濯機にも突っ込んだし、そろそろ子どもたちが起きてくる時間だ。今回はこの辺にしよう。
子どもと一緒にいられる時間はそんなに長くは続かない。
サッカーを通して子どもに目一杯関わり、子どもとたっぷり一緒にいられる時間を、ぜひ楽しんでほしい。
おまけの小話:次男がサッカーを始めるまで。始める1か月前の誕プレは金属バットだった

ここで本文とは少しずれるが、次男が遅まきながらサッカーを始めることになった経緯についてお伝えする。
私は、直前まで次男は野球をやるものだと思っていた。
私の家の近所には、広場の一部が野球のグラウンドになっている公園がある。
そこでは近隣の野球チームが毎週末に試合をしているが、平日は野球だけではなく、元気な子供たちがみんな集まってくる格好の遊び場になっており、
ご多分に漏れず次男も毎日通っていた。
次男には一つ誇れる(?)特技があり、歳の違う知らない子にもどんどん話しかけ、一緒に遊んで仲良くなってしまう。
今日遊んだ子の名前も歳も知らないということがよくあり、親としては
「これ学校で習う、知らない人について行って誘拐される典型的な例の子になるんじゃないか?」
と恐ろしくもあったし、
小学4年生の頃にいつの間にか長男より年上の中学生とも友達(?)になり、会話の中で急に「トモキ」なる人物が出てくることもあった。誰なんだそれは。
その公園で次男は小学高学年の野球少年達と仲良くなり、毎日遊びながら野球を教えてもらっていたらしく、めきめきと上達。
中途半端に野球をやっている子よりもよっぽど上手くボールを投げ、よく打つようになると、2、3のチームから「ウチにきて!」と誘われるようになった。
そのうち1つの野球チームは体験会にも行った。しかも4回も。
これには理由がある。さすがに入団するフリをして何度も何度も体験会に参加するほどあつかましくはない。
仲のいいご近所の長男くんがそのチームでやっており、体験会がある度に「何回でもいいから来て!」と誘ってくれ、野球好きな次男は単純に行きたがった。
そしてさらに大きな理由がもう一つ。その長男くんには妹ちゃんがいて、次男と同い年で幼稚園から一緒のその妹ちゃんのことを、次男は好きだったのだ。
当時、毎朝一緒に学校に行っていたのだが(小5の途中まで一緒に行っていた!)、体験会に次男が行くと、毎回その子も来てくれた。
2月の誕生日プレゼントは金属バット。グローブも社会人野球をやっていた義理の兄から取り寄せた。当然、そのままそのチームに入るものと思っていた。
しかし、少しずつ様子が変わってくる。
次男は成長するにつれ、いわゆる「やんちゃな男の子」化が激しくなっていったが、ある時、いつも遊んでいるような男の子がそのチームにはいないことに、次男は気付いた。
近隣には別の、全国大会にしょっちゅう出るような強豪チームがあり、そっちに入っていたのだ。そして、その子たちからも次男に「ウチに入れよ~」と何度も誘われていた。
明らかにそのチームに入った方が、レベルの高い野球を気の合う友達たちとできる。
しかし、4回体験会に行ったチームに息子が入団したら、その妹ちゃんも入団するという情報が入ってきた。
我が家は揺れに揺れた…
活発な次男には、強豪チームの方が向いていると思う親心。
4回も体験会に行かせてもらった挙句に別のチームに行くなんて、仲良しご近所さんに何と言えばいいのかという大人の事情。
次男のご近所さんの妹ちゃんに対する淡い恋心。
3つが絡み合って、もうとてもとても決められなかった。
そんな悶々と考える日々の中、ある日 次男が言った。
「タイガーショットが撃てそうだから練習してくる」
…………ん?
皆さんご存じだろうか?
「タイガーショット」とは、不朽の名作「キャプテン翼」にて、主人公である翼のライバルとして描かれる日向 小次郎(ひゅうが こじろう)の必殺シュートである。
セーブしたゴールキーパーごとゴールに押し込んだり、ゴールネットを突き破って後ろの壁にめり込んだりする、圧倒的な破壊力を持つシュートだ。
答えの出ない問答を前に、ついに頭がイかれてしまったのだろうか?小2の子どもを過度に追い込んでしまったのかもしれない…
「練習したいからパパついてきて」
次男に連れていかれたのはあの公園にあるトイレの前。次男はトイレの壁に向かって少し離れたところに長男のサッカーボールを置き、
「タイガーショットォォォォッ!」
と大声で叫びながら、へなちょこシュートを撃ちだした。
全く理解が追い付かなかった。
理解が追い付かないが、次男が目の前でサッカーの練習をしていることは分かったので、
ついサッカーチームで子供たちに教えている軸足の位置や踏み込む強さ、足のどの位置でボールを蹴るかなどを教えると、ちょっとマシになった。
気を良くした次男は
「もうちょっとかな?」
「今できてたよね?」
とか言いながら何度もタイガーショット(?)の練習を続けた後、ふと足を止め、
「最後の方できてた」
と満足そうに言って練習を終えた。
できてたら今頃トイレは跡形もないぞ!と心の中で突っ込んでいると、
「僕、サッカーやる」
と言ったのだ。
こうして、揺れに揺れた我が家の野球チーム選びは、まさかのサッカーチームへの入団で終わった。
長男の卒団と入れ替わりで弟が入ることになったサッカーチームからは大歓迎され、私は次男の代でコーチを継続することになった。
野球の体験会を誘ってくれたご近所さんにも「長男がやっていたサッカーのチーム入ることになりました」と言ってお詫びをしたところ、
まったく角が立つことはなかった。本当によかった…
ちなみに妹ちゃんは息子がその野球チームに入団しなかったことで野球をすることにはならず、それまで習っていたピアノと水泳で現在も忙しそうにしている。
ピアノでは小学校の行事で全校生徒が歌う曲を弾いたり、水泳ではスイミングスクールの選抜に選ばれ、方々の大会に出たりしている。
元々野球が入り込む隙間はなかったようにも思え、我々夫婦はホッとしている。
なぜ次男が急にタイガーショットを練習しようと思ったのか。
当時、長男とキャプテン翼のテレビゲームをやっていたためだと、後から分かった。
そのゲームは相手をショルダータックルで吹っ飛ばすのは当たり前、
キャラクターによっては、タックルのボタンを押すと相手を頭上より高く蹴り上げることもある、ハチャメチャなゲーム。
4級審判資格を持っている私としては黙っていられず「審判は何をやっているんだ!」と探すも、フィールド上に見当たらない。そりゃラフプレー止まらないわ。
タイガーショットを撃つと、日向 小次郎が「タイガーショットォォォッ!」と叫ぶ動画が入った後、
地面の芝をえぐりながらえげつないシュートがゴールに飛んでいき、GKごとゴールネットに吹っ飛ばされる動画が入った後にゴールとなる。
兄弟はゲラゲラ笑いながらとても楽しそうにやっていた。
この楽しい体験が、あらゆる状況が野球をやる方向に向いていた次男を、「サッカーやりたい」に変えたのだ。
恐るべしはテレビゲームの子どもへの影響力…いやいや、キャプテン翼の魅力だろう。
フランスのスーパーストライカーのエムバペも、ブラジルのネイマールもキャプテン翼の大ファンだという。ちなみに10歳離れた私の兄も大ファンだ。
とんでもない長い世代にわたって影響を与えている。とんでもなく多くのサッカー少年を生み出してきているに違いない。
作者である高橋 陽一先生がサッカー界にもたらした功績は計り知れないなと、将来マンガ家になりたいという夢を持っていた頃を思い出した…
と、ここまでが次男がサッカーをやり始めた経緯だ。
本文と大きく逸れる内容にも関わらずここまで読んでくださり、ありがとう。
次男のキャラクターが少しでも伝われば嬉しい。
ここまで読んでくださったあなたには、ぜひ今回の記事以外についてもお読みいただきたい。
共にGKの親のつらみを分かち合いたい。



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