ゴールキーパー(GK)の親たちよ、こんにちは。管理人のロンです。
Jリーグ下部組織(J下部)のセレクションと聞いて、
「いや、あれはチームのスーパースターだけでしょ?ウチの子には関係ないよ」
「受けるだけムダ。お金と時間がもったいないだけ」
と思う方がいらっしゃるかもしれない。
今回、私が伝えたいことは以下の通りだ。
「GKであるなら、ぜひJ下部セレクションを受けるべき」
・その差18倍!受かればグンとプロに近づく
・一流コーチのGKレッスンを体験できる
・移籍じゃなく出世!現所属チームにとっても名誉でしかない
今回もJ下部ジュニアユースのGKであるウチの次男が練習着に付けてきた人工芝を取る時間を使って、上記についてぼやいていこうと思う。
あくまで8年間少年サッカーチームでコーチをしつつ長男・次男を育ててきた私の経験からくる個人的な考え方ではあるが、
J下部セレクションを受けるメリットを理解でき、
「自分の子とは縁遠いもの」というイメージが払しょくされ、
受験の際のあなたとあなたの子どもの不安が少しでも取り除くことができたら
嬉しい。
【誰でも受験OK】受かればプロ確率18倍UP!J下部セレクションを受けよう!


今日の対戦相手はこいつらだ。
パンツは人工芝が付いていないし、腰サポーターは瞬殺だが、
練習着上の裾とソックスに時間がかかるかな…
そもそもJ下部とは何か?
最低限知っておいていただかないとこの記事がちんぷんかんぷんになってしまうので、念のため始めにお伝えしておこう。
「アカデミー」と呼ばれる、Jリーグ所属のクラブが育成目線で運営している、小学生から高校生年代までのチームのことだ。
「スクール」を運営しているクラブもあり、ごっちゃになりやすいので以下の比較表で違いを確認してほしい。

J下部セレクションというのは、上記のアカデミーへの入会を目指す選手たちが集まる選考会のことだ。
つまり、プロへの近道の入口である。
そんなJ下部セレクションについて、冒頭でも触れたが、もしかしたらあなたは
「いやいや、うちの子なんて関係ないから」
と思っているかもしれない。
かくいう私もその一人だったから、その気持ちはとてもよく分かる。
長男が小学4年生の時、同じチームのコーチ仲間から
「長男はJ下部のセレクション受けないんですか?」
と言われ、セレクションがあることを初めて知った。
だがウチの長男は当時チーム内でポイントゲッターではあったが1番上手いというわけでもなかった。
「いやいや受かるわけないし、そもそも受けられないでしょ」
その話を聞いていたコーチ歴20年の別のコーチから
「そんなことないよ。誰でも受けられるから、経験と思って受けた方がいいよ」
と言われ、驚いた記憶がある。
セレクションはチームのスーパースターだけが受けられるのではなく、募集期間に該当する年次(早いと小学2年生から。主に小学3年生~5年生)であれば、
必要書類を揃え、受験料を払って(無料の場合もある)申し込みさえすれば誰でも受けられる。
その時点で、申し込んでいない子たちと圧倒的な差ができる。
合格する確率が0ではなくなるのだ。
ところで、将来プロサッカー選手にどれくらいの確率でなれるのか、皆さんはご存じだろうか?
ジュニア世代のサッカー少年・少女たちに将来の夢を聞くと
「プロサッカー選手になりたい」
と口々に言う。
純粋な子どもの夢を否定するつもりは全くないが、
その内のどれくらいの子が実際にプロになれる確率を把握しているだろうか?
今回改めてAIと共に調べてみたところ
JFAに登録しているジュニアサッカー少年・少女全体の約0.3%
という結果だった。
つまり、プロになれるのは333人に1人。
この数字は、真剣にプロを目指して日々練習している子には、伝えてあげた方がいい。
他の332人よりも上手くならなくてはならないのだ。
一方で、
「オレ、将来プロになるんだ~」
と言いつつ、ポテチとコーラをお供に床でゴロゴロしながらゲームばかりやっているような子には、伏せておいてほしい。
次にJ下部に受かった場合のプロになれる確率について。
こちらもAIと共に計算をしたところ
J下部ジュニア選手の約5.3%
という結果だった。
プロになれるのは19人に1人だ。
J下部ジュニアの子たちとそれ以外のサッカーキッズたちの差は、約18倍となる。
※上記の各確率の根拠については、この章の最後に別枠で記載する。
もしかしたらこの数字を見て
「え?そんなものなの?」
と思う方もいるかもしれない。
選りすぐられた子たちが、一流のコーチ達からエリート教育を受けながら相当な時間をサッカーに捧げるのに、と。
しかし、ぜひリアルに想像してほしい。
ざっくり1チームの1学年の平均人数を15~20人くらい(私の感覚値)とすると、そこから毎年1人プロが誕生するような計算となる。
チームメイトから1人プロが誕生すると言われたら、
「え?オレじゃね?」
と思う子も結構いるのではないだろうか?
333人に1人だとピンと来ないが、チームから1人と言われればリアルに想像できるだろう。
サッカーキッズの夢のプロサッカー選手。その夢の舞台に立てる確率をグンと高めるJ下部の入口。
5億円当てるためにはまず宝くじを買わなくてはいけないように、J下部に入るためには、まずはセレクションに申し込まなくてはいけない。
この我が子の可能性を開いてあげられるのは、親であるあなただけだ。
J下部の選手の集め方について、いくつか知っておくべき注意点があるのでお伝えしておこう。
基本的に、J下部は無理に選手を集めようとはしないということだ。
J下部は選手の顔と名前がHP上にアップされているのですぐに分かるが、特に5年生以下の場合、その学年の人数が8人に満たなかったり、GKがいなかったりする。
これは、J下部はあくまで「プロを養成するために存在する」ため、基準に満たない選手を取る必要がないからだ。
多くの町クラブは、どんなに選手の育成のことを前面に出していても、一方では経営・運営のことを考えなくてはならない。
会費を集めることが必要だし、たとえボランティアのチームだとしても、運営のための人手を集めたりする必要がある。
継続運営のためには会員を増やす・維持することが必須なのだ。
そのため、色々な大会に出て勝つことは、選手を集めるための一番のPR材料だと言える。
子どもたちが純粋に追い求める「勝利」だが、チームにとっては経営という側面が絡んでいるのだ。
一方で、J下部アカデミーの運営費はトップチームを含む組織全体での育成費で賄う。もちろん、資金が潤沢な組織ばかりではないが、
一部の超名門クラブを除く多くの町クラブとは、予算の規模も確保の仕方も全く異なる。
会員を集めて会費や人手を集める必要がないので、試合での勝利を追い求めるよりも、選手の育成を優先する。
だから、そこそこ上手い10人の選手より、1人でいいのでプロになれる可能性のあるダイヤの原石がほしいのだ。
そして、そのような原石をどうやって獲得するかについて。
先ほどから伝えているセレクションはその一つの方法であることは間違いないのだが、実はJ下部への入口はセレクションだけではない。
むしろ、もう一方の入口の方が正規ルートとも言える。
スカウトである。
これはJ下部のスカウト担当の人が主要な大会などを回り、欲しいと思った選手に声を掛け、そのチームから引き抜く活動である。
たまに強豪の町クラブが強引にやってヒンシュクを買う場合があるが、J下部は本人だけでなくしっかりとそのチームの責任者とも話し、
みんなが納得して移籍ができるようにちゃんと整える。
トップチームのファンでいてくれる地元のサッカーチームからエース選手を引き抜くという行為に、大きなリスクが潜んでいることをちゃんと理解しているのだ。
そしてこのスカウトによって移籍してきた選手が、J下部の登録選手のほとんどを占めるのである。
上記のことから、セレクションの合格者数はほとんどの場合で0~若干名である。
セレクションの受験生は、多い時には300人を超える。それでも、ダイヤの原石が見つからないときには合格者は0だ。
高い高いハードルである。
そのため、セレクション受験に対し、我が子が嫌がっているならやめておくことをお勧めする。
この後セレクションを受けるメリットを書いていくが、我が子がセレクション受験に対して前向きで、学ぶ姿勢があってこそ成り立つメリットだ。
先述の通り嫌々参加している子がまかり間違っても合格するような場ではないし、ピリついた雰囲気で行う場合がほとんどで、
セレクションやJ下部に対して怖いイメージやトラウマが残ってしまう恐れもある。
そのトップチームのファンだった場合、トップチームのことまで嫌いになってしまうかもしれない。
ファンでいられれば、たとえプロになれなかったとしても、そのチームのサッカーは人生に彩りを加え続けるだろう。
それがなくなるのは、その子の人生においてとてももったいないことだ。
受験に際してはしっかりと我が子と対話をし、本人がやる気になった上で臨もう。
ちなみに、先述のようにベテランコーチからセレクションの存在を聞いた私は、さっそく家に帰って受験者数などを色々調べたうえ、長男にあるJ下部のセレクション受験を勧めたのだが、
「今のチームが好きでやめたくないから受けない」
と長男は言った。
……こ、こいつ受かる気でおる!
長男の自信に畏怖した私は、早々にその場を立ち去ったのであった。
このスタンスは彼が6年生になるまで続いたため、長男は一度も受けたことがない。
次男が4年生になる4年後まで、私は実際のセレクションの雰囲気を知ることはできなかった。
ワンチャンある!GKは圧倒的に少ない+緊張感の中で一流コーチからレッスン!


腰サポーターはベランダでバサバサしたらあっという間に人工芝が落ちた。次ッ!
私の次男はとあるJ下部のセレクションを4年生と5年生の時に1回ずつ、また別のJ下部のセレクションを5年生の時に1回受けた。
後者のクラブは和気あいあいとした雰囲気で行われたのだが、前者のJ下部は大勢の受験生がいて、緊張感が包む非常にピリついた雰囲気の中で行われていた。
2つのクラブしか肉眼では見ていないので間違った認識があるかもしれないが、他のJ下部のセレクションを受けた子の親やコーチから聞いた情報などから察するに、
大体のJ下部セレクションはそのような緊張感の中で行われると思われる。
いつもの仲間やコーチがいない環境に1人で飛び込む。そして周りはみんなライバル。
そんな緊張感のある場面、小学生が過ごす穏やかな日々の中では、他になかなかないだろう。
ドキドキするだろうし、寂しさも感じるかもしれない。いつもの実力が発揮できないということもあるだろう。
飛び抜けてうまい子もいる。自分の立ち位置を知り
「もっと真面目にサッカーやらなきゃ」
と思うかもしれない。
そんな、我が子に色々なことを考える機会をセレクションは与えてくれる。
また、セレクションはサッカースキルはもちろん、基本的身体能力、サッカーに臨む姿勢、メンタル、コミュニケーション能力などを見られる場ではあるが、
同時に一流のGK専門コーチからレッスンを受けられる場でもある。
メニューの中には当然GK特有の基本的なセービングやキックなどのメニューが含まれ、子どもたちにやらせて選考する一方で、指導もしてくれるのだ。
これは非常にいい機会となる。そもそもジュニアの場合、所属するチームにGK専門コーチなんていないことがほとんどだろう。
「え?GK専門のコーチなんているの?」
という方もいらっしゃると思う。それくらい、一般的なジュニアのチームではレアな存在だ。
それに対し、私の知る限り、J下部のコーチ達はほとんどがJ下部ユース以上の経験者であり、自身がずっとGK の専門的なレッスンを受けてきた方々。
元プロも多く、日本代表を経験した方もいる。
そんな一流のコーチ達からGKの専門的なレッスンを受けられる機会など、そうはないだろう。
また、GK特有のさらにラッキーな状況がある。
さきほど多いと300人超が受験すると伝えたが、それはフィールドプレイヤー(FP)の話であり、実はGKはぐっと少なくなるのだ。
先述のように、セレクションでは色々な要素を見ている。当然、しっかり見てもらって可能性を感じてもらうことが重要となるが、
300人全員をしっかりと見て判断するというのは、コーチとしても至難の業だろう。
一方、私の次男が受けたGKセレクションは1学年10人~20人程度。コーチがしっかりと一人一人を見ていた印象がある。
実際、次男が4年生の時に受けたセレクションでは、身長、キックの威力が飛び抜けた子がいて、その子は合格していた。
合格率は約20人中1人。FPとは合格率が大きく異なるのだ。
なお、J下部は1学年につきGKは2名まで、多くても3名までであることが多いので注意してほしい。
これは推測にはなるが、GKはFPと違って試合に出ても疲労で交代するということがなく、ケガによる交代要員としてもう1人いれば十分だからだと思われる。
3名以上いても一人当たりの試合出場の機会が少なくなり、成長スピードが遅くなる。J下部としてはプロになる選手を育てることが最大の目的なので、
3名以上は必要ないのだ。
学年が低いほどGKの選手が2名に満たないことが多いので、早めに受ければ合格率も高まると言える。
J下部セレクションを受験するのには数千円かかることが多いが、それを差し引いたとしても、
ジュニアGKが受験することにはたくさんのメリットがあり、FPに比べて合格率も高いことが多い。
ぜひ受験を検討してみてほしい。
セレクション内容公開!GK合格のカギはキックの精度と8人目の意識


次は練習着の上だ。やっぱり裾の縫い目に絡みついた人工芝はバサバサしても全く落ちず、
ガムテをくっつけても取れないので、爪。爪でも取れなきゃ指でつまんで取る。
この縫い目の部分メーカーさんなんとかしてくれないものかなぁ…
この章では、ウチの次男が実際に受けたセレクションの内容と、合格をいただけたポイントについてお伝えしようと思う。
先述の通り、ウチの次男は4年生、5年生ととあるJ下部のGKセレクションを受けた。
Aのクラブを4・5年生の2回、Bのクラブを5年生の時に1回受け、Bのクラブで合格をいただくことができた。
5年生時のAクラブのセレクションではコート周りのネットまで近づいて見学OKだったため、ノートに細かくセレクション内容を書くことができた。
その内容を以下の表にまとめたので参考にしてほしい。
なお、この内容はあくまでそのクラブのその年のセレクション内容であり、当然、他のクラブの内容と異なるし、年によっても異なるのでご注意願いたい。

上記の内容をご覧になって、どうだろうか?
町クラブで、これほどのGK向け練習メニューを実施できているチームはなかなかない。しかも一流コーチが見て、指導してくれるのだ。
これだけでも、セレクションを受けるメリットは十分あると言えるだろう。
そして、もしかしたらJ下部に入れるオマケ付きなのがセレクションだ。
次男が合格したBクラブの話をしよう。
当時、次男はトレセンに選んでもらったばかりで目立っていたわけでもなく、当然、J下部スカウト担当から声を掛けてもらった経験などない。
また当時、三角骨障害(足のカカトの後ろの骨を傷める)を患いテーピングをしてサッカーをしており、全力を出せる状態でもなかった。
せっかくトレセンにも選んでもらえたし、全力も出せないのに受かるわけないし、Bクラブのセレクションは応募締切日の朝まで受けるつもりもなかった。
しかし、通勤の途中で次男本人に最終確認するのを忘れたことを思い出し、乗り換え駅のホームから電話したところまさかの「やっぱ受けたい」との反応が。
「えぇ…受けなくていいよ~…」と思うも出勤時間まで時間がなくやり取りを続けられなかったため、とりあえず申し込んだのだ。
しかし、急展開。まさかまさかの合格となるのだ。
こちらについて、選考ステップと各セレクションの内容についてお届けするのだが、基本的に見学不可であった上、2次セレクションは平日開催で私は行くこともできなかった。
私が高台からこっそり覗いた1次の情報と、次男からの情報を合わせてお伝えする。先ほどのAクラブの内容と比べるとざっくりな内容となるのでご了承願いたい。

上記の通り、セレクション自体は2次までだった。
本来は3次セレクションまであるとされていたが、2次の結果連絡の際に
「サッカーの技術は合格ですので、3次は不要です」
と言われ、代わりに聞いてなかった保護者面談の話をされて驚いた。
先述のように受けるつもりもなく、よもや合格するなんてこれっぽっちも思っていなかったため、気になって仕方なかったことを保護者面談の際に直接聞いた。
「何が合格の決め手だったたのか」
だ。
次男は2回のセレクションとも終わった後に
「めっちゃできた。絶対受かったと思う」
と言ってきたが、そんなことではなく、コーチの目からどうよく見えたのか。
「キックの精度です」
まずGKコーチが答えてくれた。
「パントキックを蹴る際に低弾道パントキック(ボールに対して横から足を当てるキック)を蹴るんです。
そしてその蹴られたボールが、私が構えた手のところにピタッと飛んでくるんです。このレベルのキックをできる子は、ジュニアではなかなかいません」
とのこと。
ちょっとオタク気質がある次男は、YouTube等で得たキックの知識を公園でずっと試すということが何度もあった。
そしてみるみるキックが上達していき、飛距離、精度が上がり、球種が増えていった。その一つが低弾道パントキックだ。
先述のように、所属チームにGKコーチなどいない。誰にも教わっていないのにいつの間にか習得していたのだ。
次男から低弾道パントキックのことを知らされて以来、他チームのGKのキックに注目してきたが、確かにあるJ下部の1人の選手以外では見たことがなかった。
「もう一つはサッカーIQです」
これは、監督からだった。
「次男君は8人目の選手として、常にFPにしっかり関わるポジショニングをしている。次の展開をよく考えてサッカーをしています。
ウチは繋ぐことを重視したサッカーをしているので、適性があると感じました。」
ということだった。
これは次男が所属しているチームの方針が大きくかかわっている。
ゴールキックの際、他のチームはとにかくなるべく遠くへ蹴り飛ばす方針であることが多い中、ウチのチームは大きく蹴ることを禁止している。
これは
■GKからパスを受けた選手は、相手のプレッシャーがある中で様々なことを考えながら身体や足元の技術を使うことになり、サッカーIQ・技術が上がりやすくなること
■GKが蹴って大きく飛んできたり、地面に落ちて跳ねたりしているボールをしっかり納めることは難しく、相手チームに取られてしまう可能性が高いこと
からだ。
GKがボンと大きく蹴ってしまうことですっ飛ばされた選手は成長の機会を逃し、結局いい展開にもならないということ。
同様の理由で、考えのないクリア(タッチラインからボールを出したり、相手陣地に大きくボールを蹴ること)も禁止している。
とはいえ弱小チームなので、この崇高な思想による禁止事項のおかげで失点することも多いのだが、結果的にこの方針が、本当に次男のサッカーIQを上げたのだ。
次男を育ててくれたチームとコーチ陣には本当に感謝している。
次男の合格理由を聞いて気を良くしたことで緊張がほぐれ、その後の面談はコーチ達のウケを取りつつゲラゲラ笑いながら進めてしまった。
20年超、仕事で営業職を行うことで身体にしみ込んだクセがもろに出てしまったのだ。
はっと気づいたのはコーチ達に見送られて建物を出た後だった。
横を見ると、妻の冷たい目。
……ヤバい。次男の夢に繋がる絶好のチャンスを、私が潰してしまったかもしれない。
まだ結果を知らないその時の私は、そう思いながら家路についたのを覚えている。
上記が私の実体験だ。
合格するなんてこれっぽっちも思っていなくても、ワンチャンあるのだ。
次男はキックとサッカーIQを評価してもらったが、J下部に通用するレベルだとは全然思っていなかった。
皆さんの我が子にも、強みがあるはずだ。
あなたが通用しないと思っているだけかもしれない。
ぜひそれを磨き、J下部のセレクションにチャレンジしてほしい。
チームに迷惑かける?でもクラブにとってもとても名誉なこと!


いよいよ最後のソックスだ。上側は裏までこびり付くので、裏返して取る。ソックスにはしっかり絡みつくので、爪で寄せて取り、最後は指でつまんで取るしかない。
ここまで今回の記事を読んで、セレクションを受けてみようかと思っても、
「今のチームにとてもお世話になっているのに、ウチの子が抜けたら迷惑かけちゃう」
と思って気が進まない方もいらっしゃるだろう。
あなたのその紳士的で優しい考え方は、全くその通りだ。
セレクションに合格する子は、間違いなくそのチームのエースのはずだ。その子が引き抜かれることになるのだから、
そのチームの戦力の低下は間違いないだろう。
試合に勝ちづらくなるだろうし、メンバー構成やポジション配置に苦慮することになるかもしれない。
チームの仲間やコーチからしたら、その点に関しては迷惑でしかない。
実際、私と妻もかなり悩んだ。
長男の時からお世話になり、自身もコーチとして身を置く慣れ親しんだチームから、急に良く知らないJ下部への移籍。
申し訳ない気持ち、不安な気持ち…
二人で色々話し合った結果答えを出せず、私にセレクションの存在を教えてくれたコーチ歴20年以上のレジェンドともう一人のコーチを居酒屋へお呼び立てし、
妻と4人で緊急相談会を行ったほどだ。
結果、
「おめでとう。絶対行くべきだ」
と二人とも即答。
その会で二人に言われて改めて学んだのだが、
よほどJ下部を目の敵にしている強豪チームでもない限り、一般的な町クラブにおいては
「J下部への移籍だけは別」
という共通認識がある。
元々チーム間の移籍は多少はあるはずだ。
一般的な移籍は、もっと学べる・勝てるチームに行きたいという上昇志向からの場合や、
コーチやチームの方針と合わなかったり、揉め事があったりという悲しい理由の場合など、理由は様々だが、
少なからずチームへの不満があって行われるそれらの移籍は「裏切り行為」と見られてしまうことがある。
移籍する選手側にもチーム側にも双方に要因があるので、残されたチーム側が一方的にそのように見ることは決して良いことではない。
しかし、私が付き合っているようなコーチ達は、日頃から選手たちに対し並々ならぬ思いを持って指導に当たっている(特にボランティアでやっているヘッドコーチ等)。
大人として露骨に口に出すことはないとしても、どうしても「ちぇっ」ぐらいは思ってしまうだろう。
しかし、J下部だけは違う。
自分の夢に向かって本気でチャレンジし、掴み取ったものに他ならない。
チームへの不満や後ろむきな理由は一点もない、本人が望んだ完全に前向きなもの。
移籍でははく「出世」である。
またコーチ達はその考え方を、D級コーチライセンスの講習にて体系だって学んでもいる。
JFA(日本サッカー協会)が主催するその講習では、日本のサッカーのレベルを上げるためには
「個を育てること」と、そのための土台となる「グラスルーツでのサッカー」が重要であると説かれている。
つまり、日本代表選手になるようなエリートは、町クラブのような一般的なチームが広くサッカーを普及させることで初めて排出されるということだ。
町クラブからJ下部への移籍は、まさにこのことの体現と言える。
また、もしJ下部へ「出世」したその子が実際にプロになったり、日本代表にまでなったりしたらどうだろう?
「さぎぬまSC」という神奈川県の町クラブの例を挙げる。
1979年創立と歴史のある強豪チームではあるものの、いつも全国大会に出場するようないわゆる超強豪チームではない。
しかし、「三苫 薫」「田中 碧」「権田 修一」が日本代表に選出された時、ジュニア時代の一時をさぎぬまSCで学んだことが報道され、一躍 有名になった。
それまで特別多くもない会員数のさぎぬまSCだったが、日本代表を輩出した教えを受けたいと、70人以上もの入団希望者が訪れたというのだ(噂レベルなので数字は定かではない)。
それはそれでチームとしては迷惑だったのかもしれないが、名誉であることは間違いない。
また先述の通り、町クラブは運営のために会員を集める必要がある。
さぎぬまSCが運営に困ったという話は聞いたことがないが、より運営が安定したことは間違いない。
上記は極端な例ではあるが、J下部へ選手を輩出したことは、チームにとって大変名誉なことであり、その子の出世の仕方次第では、ものすごい可能性を秘めた事柄でもある。
実際、ウチの次男は移籍の際、チームからかなり祝福された。
送別会を開いてくれ、
「いつでもまた顔出してね!」
と言いながら、保護者の方々が中心となって作ってくれた思い出写真とメッセージの詰まったアルバムを渡してくれた。
実際に移籍後もチームのイベントにちょこちょこ顔を出し、6年生として最後の卒団試合にも、コーチ側のGKとして参加させてもらったのだ。
J下部への移籍は「出世」だ。
そのことをチームやコーチも理解していて、チームにとっては大変な名誉である。
ぜひあなたには後ろめたく思うことなどなく、安心してセレクション受験を検討してほしい。
GKの親はとりあえずJ下部セレクションの情報を集めよう!


終わった…
今日はそこまでの強敵ではなかったな。さぁ、洗濯機に突っ込もう。
そして50分後に干すのだ!がんばれオレ!あとひと踏ん張りがんばれ!
ここまで読んでいただき、少しでもセレクションを受けてみようかと思っていただけたなら、ぜひインターネットなどで情報を集めてみよう。
もし我が子のお気に入りチームがあるなら、当然、真っ先にそのチームのHPを見るべきだ。
セレクションを受ければ、試合では見えてこない裏舞台を除くような感覚を味わえ、より好きになれる可能性が高いためである。
セレクション会場は基本的に整備された人工芝であり、実際の選手の練習場とは違ったとしても、どれだけいい環境で選手たちがサッカーをやっているかが分かる。
また受験者数の多さを見ればどれくらい地域に愛されているかが分かるだろうし、コーチ達の表情や振る舞いからは日頃のチーム内の雰囲気を感じることもできるだろう。
それだけで、ファンからしたら嬉しいものだ。
その年のセレクションはだいたい7月くらいから情報がアップされ、8月~10月頃に一次セレクションを受けるというスケジュールが一般的だ。
まれに年に複数回行っていたり、欠員が出た場合の補充のために臨時で行っていることもあるので、ちょこちょこHPを訪れるといい。
他のJ下部と時期がずれるセレクションは、受験者が少ないことが多いので見つけたらラッキーだ。
セレクションの募集情報を見つけたら、さっそく申し込みをしよう。
なお、大体の場合で申し込み及び受験料の支払いだけでは終わらず、期日まで(だいたいはセレクション当日持参)に承諾書の提出が必要となるので注意。
これには「現在所属しているチームの代表者に、J下部への移籍の承諾を先にもらっておく」という意味がある。
セレクションは「合格した場合には必ず移籍をする」のが規定となっているためだ。
J下部コーチ側の立場としては、多いときは300人以上にもなる中からやっと1名のダイヤの原石を見つけたのに
「ウチからエースを引き抜きやがって!」
と恨みを買うわけにはいかないからだ。
J下部アカデミーの評判はトップチームの評判に直結する。地域に愛されなくてはならない。
なので、事前に移籍の承諾をもらった選手だけが、セレクションを受けられるようになっているのだ。
承諾書にはチーム代表者のサインや押印が必要となっていることがほとんど。
代表者としょっちゅう会っている人ばかりではないと思うので、期日に間に合うよう、計画的に入手しよう。
募集時期ではない場合は、去年の情報を見てみよう。
募集時期は毎年大体同じ。いつ頃に募集が始まるかが分かるだろう。
他にも必要な書類などを確認したり、他のサイトを見て受験者数や合格者数を調べ(公表されていないことが多いが)、心づもりをしておこう。
「どこでもいいからJ下部受けてみたい」
という場合、「Green Cardニュース(旧 ジュニアサッカーニュース)」というサイトが便利だ。
各県のタブからセレクションの情報に行くことができ、地域のセレクション情報が網羅されている。町クラブのセレクション情報もたくさんあったり、
セレクション情報以外にも各種大会の情報もたくさんあるので、ちょこちょこ見ていると地域のサッカー事情に詳しくなれるだろう。
ぜひ情報を集めながら我が子と相談し、セレクションに申し込んでみよう!
「ピーピーピー」
ふう。洗濯機が終わったようだ。そろそろ今回はおしまいにしよう。
最後に、皆さんに伝えたいことがある。
ここまでこの記事を読んで、
「よし!ウチの子もJ下部に入れるぞ!」
と気持ちが高ぶってしまったとしたら大変申し訳ないのだが、ぜひ深呼吸して落ち着いてほしい。
間違っても我が子に
「〇〇なら絶対受かるから!絶対受かってきな!」
などと言ってプレッシャーを掛けないように。
落ちる可能性の方が圧倒的に高いし、そもそも一人も合格しない場合もあるのだ。
「シリアスな空気で一流コーチからレッスンを受けられる機会であり、J下部に入れるかもしれないのはオマケ程度」
と思って、気軽に受けさせてあげてほしい。
だが、もし、セレクションで落ちて我が子が落ち込んでしまったら。
それは本気だったということだ。本気でプロを目指しているということだ。
そうなれば、あなたの出番だ。
手を握って励ましてあげてほしい。
まだ我が子がよちよち歩きだった頃を思い出しながら、
プロサッカー選手への厳しい道を歩き出した我が子を、不安半分、でも期待も込めた目で見つめながら、
我が子の行きたい方へ、手を取りながら一緒に向かってあげてほしい。
だって、その手を握り返さなくなる日は、そう遠くはない。
あなたにとっても我が子と密に過ごす最高の日々になるはずだ。
おまけの小話:J下部は超エリート集団でもない!無意味にドキドキさせられた合格発表

本文の趣旨から逸脱する内容だが、先述の保護者面談終了後から正式な合格連絡をいただくまでの経緯を今回の記事のオマケとしてお届けしようと思う。
もしあなたがJ下部を超エリート集団だと思っているようであれば、親近感が湧くかもしれない。
先述の保護者面談の終了後、最終合否についてはある日の19時までに連絡が来ることになっていた。
私は自分のせいで次男が落ちたかもしれないという一抹の不安を感じつつも、保護者面談があることを告げてきたコーチが電話越しに
「全然重い内容ではないですから安心してください」
と言っていたことを信じ、
その日の夜はお祝いとして次男の好きな回転寿司に家族で行くことにしていた。
夕方になり、ご多分に漏れず休日の回転寿司屋は大混雑。少し早めに向かったのだが、駐車場に入るのにもたっぷり待ち、席に座ることができたのは19時のちょっと前だった。
ちなみにまだ連絡はない。
オーケーオーケー。想定通り。1次・2次の合格連絡は全て期日ギリギリだった。
「ここまで来たら合格連絡を受けてからみんなで乾杯しよう」
週末の家族連れで賑わう回転寿司屋の店内で、我々家族の座った席のみ何も頼まず、シーンとしたままの時間が続く。
ピロン♪
……違う。これはLINEの通知音だ。電話で来るのだ。短い音ではない。
ブブブ!
……妻のケータイのバイブ音だ。いつも音を消していて電話に気付いてくれない妻も、今日はバイブにしている。
電話は私宛てに掛かってくるんでしょうが。なんで今日に限って音を消してないんだ。
おいおい、ケータイ持ってソワソワしてるんじゃないよ。
時折鳴るケータイの音にビクついたり、妻にイライラしたりしながら、着信を待って過ごす。
「かかってこないね…」
妻のその声でバッとケータイを見ると、19時だった。
着信履歴もない。
え?掛かってこないんだけど!
今日の連絡はたとえ不合格だとしても必ず連絡が来ることになっている。
不合格だったのか?不合格だから、連絡は後回しでもいいってことか?
私が困惑していると
「30分待ってみよう」
と正面の妻が言った。その少し後ろに、店員が不思議そうにこちらを見ているのが見えた。
そりゃそうだ。これだけ混雑している店内で、家族4人が何も食べずに黙って座っているのだ。
子どもたちもお腹がすかせている。
「とりあえず、何か頼んで食べ始めよう。前祝いだ」
といいつつ、お酒は頼まないでお茶を入れる。電話が掛かってくるんだから。
30分経ってしまった。
ええ!?どういうこと!?軽く次男の人生が掛かっていると思うんだが!?
それとも「重い内容じゃない」なんてことはなく、やっぱり私が面談で軽口叩いてゲラゲラ笑ってたから、落とされたのか!?
次男の好きな食べ物を聞かれ「マグロが好きで、絶滅させちゃうかも」とか言うんじゃなかった…
私の気も知らず、目の前では次男がそのマグロの握りをバクバク食べているが、私と妻は動揺であまり箸が進まない。お茶ばっかり飲んでしまう。
「こっちから電話掛けようか」
「いや、いいよ。きっと忙しいんだよ。最初からうるさい親だと思われちゃったら嫌だよ」
「そうか。もう30分待ってみるか…」
食べ終わってしまった。
えええ!?なんでなんで!?こんな大事なことがこんなに後回しにされるの!?
時間間違えてないよな?19時って言ったよな?
思いだしてみる。
「〇〇日の15時はどうですか?」
「いやたまたまその日15時はCTスキャン取ってるんです。CT内ってすごい音するので、ちょっとうるさくなっちゃいますけどいいですか?」
…19時になった経緯を思い出すと、ますます不合格になった気がしてきた。
お会計が終わってしまった。
ぇええ……お店出ちゃった…
さすがに我慢できなくなってきたところで
「電話掛けよう」
妻から言ってきた。
今まで連絡を掛けてきてくれた人は必ず1人のFPコーチだったので、その着信履歴から電話を掛ける。
プルルルル…プルルルル…
繋がらない……なんとなく想像してたが、やっぱり繋がらないとさらに焦りだす。
19時までに連絡すると言われていたのに対し、すでに20時だ。
保護者面談での私の態度が悪すぎて、電話に出る価値もないのか?
それとも架空の団体が仕掛けた壮大なドッキリだったのか?
想定外の事態にあり得ないことまで考え出してしまう。
「待っていても仕方ないから、帰りだしましょ。車に乗ろう」
車で走り出して数分したところで私のケータイが鳴った。
コーチからだ!
早く車を停めなくては!切れてしまう!次いつ繋がるか分からない!
焦る。焦りながらも、なんとか事故らないように車を停める。
「もしもし!」
「〇〇です。ご連絡遅くなって申し訳ありませんでした。次男君は合格です」
やったー!!!
ケータイから漏れ聞こえた声で次男、長男が大喜び。
もちろん私も合格の連絡は嬉しかった。
私のせいで不合格にならなかった安堵感もあり、もちろん嬉しかったのだが、
「なぜこんなに連絡が遅かったのか」
という思いが溢れてしまい、純粋な喜びの気持ちでいっぱいにはならない。
続けて電話先でコーチから今後のこと等 いろいろ話をされたのだが、
それで?ねえどうして19時までに連絡くれなかったの?なんで遅くなったの?
という思いが溢れてしまい、内容が上手く入ってこない。
「……となります。では今後ともよろしくお願いいたします」
アレ?電話終わっ…
「理由ないんかーーーーーい!!」
私が事態を飲み込むよりも先に妻が叫んでいた。
……こうして、私のせいで次男が夢を打ち砕かれるというようなことにもならず、無意味にハラハラドキドキさせれらつつも、次男はJ下部に入会できたのである。
なお、この合格発表の遅れに見られたようなコーチ達の事務処理の稚拙さは、入会後も随所に見られた。
コーチ達はサッカーに関してはすさまじいスキルを持っているが、なんでも完璧にこなす超エリート集団などではないのだ。
そのあたりのエピソードも色々あるが、また別の機会に語ろうと思う。
本文と大きく逸れる内容にも関わらずここまで読んでくださり、ありがとう。
J下部のこと、我が家族のキャラクターのことが少しでも伝われば嬉しい。
ここまで読んでくださったあなたには、ぜひ今回の記事以外についてもお読みいただきたい。
共にGKの親のつらみを分かち合おう。


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